ケーススタディ

NVIDIAのKumo Relationalで、AIでのブランドの言及シェアの伸びを予測してみた|来週伸びるブランドは当てられるか

A

執筆: AIOPulse編集部

ChatGPT・Gemini・Claude など AI 検索(AIO/GEO)対策の専門チーム。日々の言及シェアモニタリングデータと、業界別の AIO 対策ノウハウを発信しています。

前回の記事「NVIDIAの「Kumo Relational」をサイトの回遊データで試してみた」では、学習なしで「来週読まれるページ」を予測できました。記事の最後に、次は「来週、どのブランドのAIでの言及が伸びそうか」を試したいと書いたので、今回はその続きです。

AIOPulseは、ChatGPT・Claude・Geminiに業界ごとの質問を送り(Claudeは毎日、ChatGPTとGeminiは9月から1日おき)、回答に出てくるブランドの割合(言及シェア)を記録しています。この記録を使って、来週、言及シェアが伸びるブランドを当てられるかを試しました。

先に結論を書きます。Kumo Relationalの成績は、「4週の平均に戻る」と考えるだけの単純な予測とほぼ同じでした。それ以上に大事な発見は、週ごとの上下の多くが、翌週には戻る「揺れ」だったことです。

使ったデータ

AIOPulseが公開している業界別ランキングの元データを使いました。会員の方のキーワードの計測データは使っていません。

  • 期間: 2026年8月3日〜11月8日。質問文からブランド名を外した今の測り方になってからの期間だけです
  • AI: ChatGPT・Claude・Gemini。Geminiは9月16日にモデルを gemini-2.5-flash から gemini-3.1-flash-lite に変えています
  • 量: 業界×AI×日の集計が12,164回分です。予測の例にしたのは56業界・290ブランドです(10月末に追加した4業界は、履歴が4週に満たないため外しました)
  • 言及シェアの数え方: AIごとに日々のシェアを平均し、3つのAIを同じ重みで平均しました。業界別ランキングと同じ数え方です

やり方

問い

毎週月曜日を基準日にして、その前の4週に1回以上AIの回答に出てきたブランドを1件の例にしました。基準日は8月31日〜11月2日の10週で、例は全部で2,848件です。

  • 伸びるか(分類): 基準日からの7日の言及シェアが、その前の7日より上がるか。実際に上がった例は全体のほぼ半分(50%)でした
  • 来週のシェア(回帰): 基準日からの7日の言及シェアそのもの

評価のしかた

10月12日・19日・26日・11月2日の4週を「問い」にしました(各週286〜289ブランド)。手本には、その直前の4週の例(約1,140件、正解つき)を使いました。どの予測も基準日より前のデータだけを使い、未来の情報が混ざらないようにしています。Kumo Relationalは結果が少し揺れるため、各週5回ずつ予測して平均しました。

Kumo Relationalへの渡し方(3通り)

  • 日次の行: そのブランドの直近4週の日々の記録です。AI・何日前か・シェア・言及回数・その日の業界全体の言及回数・質問数を渡しました。1ブランドあたり約60行です
  • 週ごとの行: 同じ記録をAIごと・週ごとにまとめたものです。1ブランドあたり12行(4週×3つのAI)です
  • 集計した特徴量の表: 今週・先週・4週平均のシェア、AIごとの今週のシェア、言及回数、業界のブランド数などを1行にまとめた表です

比べる相手は2つです。1つは、4週平均が今週より高ければ「伸びる」と予測する単純な予測です。もう1つは、同じ手本と同じ特徴量で学習させた勾配ブースティング(scikit-learnのHistGradientBoosting)です。

結果

来週伸びるか(AUROC)

予測のしかた10月12日10月19日10月26日11月2日平均
単純な予測: 4週の平均に戻ると考える0.700.600.660.650.65
勾配ブースティング(集計した特徴量で学習)0.600.550.610.640.60
Kumo: 日次の行だけ・「伸びるか」を直接0.570.560.490.500.53
Kumo: 週ごとの行だけ・「伸びるか」を直接0.550.550.500.510.53
Kumo: 週ごとの行だけ・来週のシェアを聞いて判定0.690.640.660.660.66
Kumo: 集計した特徴量の表を渡す0.730.630.620.670.66

AUROCは0.5が当てずっぽう、1.0が完璧です。

  • Kumo Relationalに「伸びるか」を直接たずねると、日次の行でも週ごとの行でも0.53で、ほぼ当てずっぽうでした
  • 同じ週ごとの行で「来週のシェア」を数値でたずね、今週のシェアとの差で判定すると0.66に上がりました
  • 集計した特徴量の表を渡したときも0.66で、今回いちばん高い値です。ただし単純な予測(0.65)との差は0.01で、誤差の範囲です
  • 勾配ブースティングは0.60で、単純な予測に届きませんでした。約1,140件の手本では、たまたまの上下まで覚えてしまったと考えられます
  • 手本をそれまでの全部の週(6〜9週、約1,700〜2,600件)に増やすと、Kumo Relationalは特徴量の表でも、週ごとの行から来週のシェアを聞く形でも0.67、勾配ブースティングは0.62でした
  • 5回のくり返しでのばらつきは、最大で±0.02ほどでした

来週のシェアの外れ幅と、伸び幅の順位

予測のしかた来週のシェアの外れ幅(MAE・ポイント)伸び幅の順位の当たり(順位相関)
今週と同じ1.72—
4週の平均1.820.32
勾配ブースティング1.860.23
Kumo: 日次の行だけ1.820.28
Kumo: 週ごとの行だけ1.750.33
Kumo: 集計した特徴量の表1.690.29

外れ幅は、予測したシェアと実際の差の平均で、小さいほど良い値です。順位相関は、伸び幅の大きい順に並べたときの当たり具合で、高いほど良い値です。どちらも4週の平均です。来週のシェアは「今週と同じ」と考えるだけで外れ幅1.72ポイントとよく当たり、Kumo Relationalは特徴量の表を渡したときに1.69とわずかに上回りました。伸び幅の順位は、週ごとの行を渡したKumo Relational(0.33)と4週の平均(0.32)がほぼ並びました。

わかったこと

週ごとの上下の多くは、翌週に戻る

いちばん効いたのは、「今週たまたま高かったブランドは来週下がり、たまたま低かったブランドは来週上がる」という単純な傾向でした。統計では「平均への回帰」と呼ばれます。

  • 今週3ポイント以上伸びたブランドの68%は、翌週に下がりました。3ポイント以上下がったブランドの70%は、翌週に上がりました
  • 今週のシェアが4週平均より2ポイント以上高いブランドの71%は、翌週に下がりました
  • 週ごとの変化の大きさは中央値で1.3ポイントでした。2ポイント以上動いた例が35%、5ポイント以上動いた例が10%ありました

「先週伸びたブランドは今週も伸びる」という勢いは見られず、むしろ逆でした。

Kumo Relationalには「数値」でたずねるほうがよかった

前回のサイトの回遊データでは、行(閲覧の記録)を渡すだけで、特徴量を作って学習させたモデル以上の結果が出ました。「何回読まれたか」は行の数そのものなので、モデルが読み取りやすかったのだと考えられます。

今回の答えの鍵は「今週のシェアが、いつもの水準からどれだけずれているか」でした。これは行の数ではなく、行の中の数値の平均の差です。行を渡して「伸びるか」をたずねる形では、これを読み取れませんでした。

一方、同じ行から「来週のシェア」を数値でたずねると、予測はいつもの水準に寄ります。そのため今週のシェアとの差が平均への回帰をそのまま表し、単純な予測と並ぶ成績になりました。問いの立て方と渡し方で、結果が大きく変わりました。

AIO対策での数字の見方

  • 1週の数字で判断しない: 週ごとの上下の多くは翌週に戻ります。施策の効果は、4週以上の平均の動きで見ることをおすすめします
  • AIごとの数字はもっと揺れる: 9月28日以降の週では、AIごとの週の変化の標準偏差は4.6〜5.8ポイントでした。3つのAIの平均(2.6ポイント)の約2倍です。1つのAIの1週だけを見て結論を出すと、読み違えやすくなります
  • シェアは「割合」: AIの回答に出てくるブランドの数が増えると、言及の回数が変わらなくてもシェアは下がります。今回の期間でも、1回答に出てくる、業界ごとに追っているブランドの数(平均)は、Claudeで8月上旬の約1つから11月の約3つに増えました。Geminiでは、モデルを変えた9月中旬に約1.1から約2.4に増えています。理由(モデルの更新など)はこのデータだけでは分かりませんが、シェアと言及回数の両方を見ると読み違いを防げます

動かした環境

前回と同じく、手元のGPU(GeForce RTX 3080)を使いました。モデル本体のライブラリ(structured-data-models)に、例と関連テーブルを自分で組み立てて渡しています。1回の予測にかかった時間とGPUメモリは次のとおりです。

  • 集計した特徴量の表: 0.1秒前後、約0.4GB
  • 週ごとの行: 0.3秒前後、約0.9GB
  • 日次の行: 0.6秒前後、約2.5GB

行が多いほどメモリを使います。日次の行で手本を12週分にすると約7GBになり、10GBのGPUでは余裕がなくなりました。

まとめ

  • AIOPulseの業界レポートのデータ(56業界・290ブランド・3つのAI)で、来週AIでの言及シェアが伸びるブランドを予測しました
  • Kumo Relationalは、来週のシェアを数値でたずねるか、集計した特徴量の表を渡すと、「4週の平均に戻る」と考える単純な予測とほぼ同じ成績でした(AUROC 0.66 対 0.65)。「伸びるか」を直接たずねる形では、ほぼ当てずっぽうでした
  • 勾配ブースティングは、単純な予測に届きませんでした
  • 週ごとの上下の多くは、翌週に戻る揺れでした。AIでの言及シェアは、1週ではなく4週以上の平均の動きで見ることをおすすめします

参考: 前回の記事(サイトの回遊データでの試し)、NVIDIA Kumo Relational(Hugging Face Blog)、NVIDIA/structured-data-models(GitHub)

この記事をシェア:𝕏ポストB!ブクマFacebookLinkedInLINE

関連記事

RELATED TREND DATA

関連トレンドデータ

AIOPulseが毎日クロールしているAI検索の業界別トレンドデータをご覧いただけます。

無料AI検索診断 ── 30秒

AIがあなたのブランドを推薦しているか無料診断

URLとメールアドレスを入力するだけ。このページを離れずに30秒で結果が分かります。

ご入力いただいたメールアドレスは診断結果のお届けとサービスのご案内に利用します。 取り扱いについてはプライバシーポリシーをご確認ください。

✓ 完全無料 ✓ サインアップ不要 ✓ 営業電話なし